まずはじめに
まずはこれをご覧になってほしい。
<パターン1>
tabe-ru, tabe-nai, tabe-masu, tabe-yō, tabe-ro, tabe-reba, tabe-tai, tabe-rareru
ake-ru, ake-nai, ake-masu, ake-yō, ake-ro, ake-reba, ake-tai, ake-rareru
<パターン2>
ik-u, ik-anai, ik-imasu, ik-ō, ik-e, ik-eba, ik-itai, ik-eru
tob-u, tob-anai, tob-imasu, tob-ō, tob-eba, tob-itai, tob-eru
日本語の動詞は母音語幹で終わっているか、子音語幹で終わっているかの2パターンしかない
これをじっくりと見てみると何に気づくだろうか?
パターン1の動詞たちは語幹部分が母音で終わっていて、パターン2の動詞たちは語幹部分が子音で終わっている。
そうです。学校教育では五段活用などわかりにくい概念で動詞の活用を学ぶが、それだと複雑すぎます。
ただそこでローマ字(ラテン文字)で考えるとすごく分かりやすく解釈できるのです。
◯◯段活用などはいくつか種類がありますが、ローマ字で解釈するとたった2つ考えるだけでよいのです。
それが母音語幹で終わるか、子音語幹で終わるかです。
では実際に具体的に見ていきましょう。
否定形 -nai / -anai
まずは否定を表す「〜ない」から見ましょう。
母音語幹で終わっている動詞の場合
これは母音語幹で終わる動詞、つまり「食べる」や「開ける」には-naiをつけるだけでよいです。
「食べる」という動詞の場合語幹はtabe-です。「開ける」という動詞の場合は語幹はake-です。
それにシンプルに考えて-naiをつければよいのです。もっと厳密に言えば-naという接辞をつけると言えばいいでしょうか。
そうすると tabe-nai (tabe-na-i) や ake-nai (ake-na-i) という要素から成り立っていることがわかります。
また、括弧()内の部分はより厳密に見たときの表記であるため今はあまり気にしなくてもよいです。
子音語幹で終わっている動詞の場合
そして次に子音語幹で終わる動詞である「行く」や「飛ぶ」を見ていきましょう。
これらはそれぞれik-とtob-までが語幹です。※注意点としてはi-やto-までが語幹ではないのです。
ik-及びtob-までが語幹なのです。
そしてそれには-anaiという接辞をつけるのです。厳密に言えば-ana-という接辞をつけるといえばいいでしょうか。
それぞれ ik-anai (ik-ana-i / ik-a-na-i) 及び tob-anai (tob-ana-i / tob-a-na-i) と分解し、解釈できます。
また、これも括弧()内の部分はより厳密に見たときの表記であるため今はあまり気にしなくてもよいです。
原型 -ru / -u
次に「食べる」「開ける」「行く」「飛ぶ」など原型を見てみましょう。
母音語幹で終わっている動詞の場合
それぞれ母音語幹で終わってる「食べる」及び「開ける」はそれぞれ tabe-ru 及び ake-ru と分解し、解釈することができます。
子音語幹で終わっている動詞の場合
そしてそれぞれ子音語幹で終わっている「行く」及び「飛ぶ」はそれぞれ ik-u 及び tob-u と分解し、解釈することができます。
つまり「飛ぶ」は別にtoという形とbuという形から成り立っているわけではなく実際にはtobという形とuという形から成り立っているのですね。
今までの常識が覆され始めたでしょう。
勧誘形 -yō / ō
次に勧誘形を見ていきましょう。
母音語幹で終わっている動詞の場合
「食べよう」はtabe-yōと解釈することができ、「開けよう」はake-yōと解釈することができます。
子音語幹で終わっている動詞の場合
「行こう」はik-ōと解釈することができ、「飛ぼう」はtob-ōと解釈することができます。
つまり母音語幹の動詞には接辞-yōがつき、子音語幹の動詞には接辞-ōがつくのです。
命令形 -ro / -re / -e
次は命令形です。
母音語幹で終わっている動詞の場合
「食べる」を命令形に変えると「食べろ」になりローマ字で書くとtabe-roになります。
「開ける」を命令形に変えると「開けろ」になりローマ字で書くとake-roになります。
子音語幹で終わっている動詞の場合
「行く」を命令形に変えると「行け」になりローマ字で書くとik-eになります。
「飛ぶ」を命令形に変えると「飛べ」になりローマ字で書くとtob-eになります。
明白に母音語幹の動詞につく接辞と、子音語幹の動詞につく接辞で違うのがよくわかりますね。
丁寧語 です・ます体 -masu / -imasu
です・ます体で代表的なのが接辞-masu / -imasu です。
例えば「食べます」「飲みます」「します」「行きます」「乗ります」など日常的に自分より年上の相手であったり初対面の相手に使うです・ます体です。
次はこのです・ます体の例を見ていきましょう。
母音語幹で終わっている動詞の場合
「食べます」はtabe-という語幹に-masuという要素がついている。
「開けます」はake-という語幹に-masuという要素がついている。
また「述べます」はbobe-という母音で終わっている語幹に-masuという要素がついている。
また「集めます」はatsume-という母音で終わっている語幹に-masuという要素がついている。
子音語幹で終わっている動詞の場合
「集まります」はatsumar-という子音で終わっている語幹に-imasuという要素がついている。
「行きます」はik-という語幹に-imasuという要素がついている。
「飛びます」はtob-という語幹に-imasuという要素がついている。
他にも「飲みます」はnom-という子音で終わっている語幹に-imasuという要素がついている。
さらに「乗ります」はnor-という子音で終わっている語幹に-imasuという要素がついている。
また「伸びます」はnob-という子音で終わっている語幹に-imasuという要素がついている。
こんな感じですね。
仮定形 -reba /-eba
母音語幹で終わっている動詞の場合
「食べる」はtabe-という母音語幹に-rebaという接辞がついている。
「開ける」はake-という母音語幹に-rebaという接辞がついている。
「見る」はmi-という母音語幹に-rebaという接辞がついている。
「述べる」はnobe-という母音語幹に-rebaという接辞がついている。
子音語幹で終わっている動詞の場合
「行く」はik-という子音語幹に-ebaという接辞がついている。
「飛ぶ」はtob-という子音語幹に-ebaという接辞がついている。
「集まる」はatsumar-という子音語幹に-ebaという接辞がついている。
「乗る」はnor-という子音語幹に-ebaという接辞がついている。
願望形 希望形 -tai / -itai
母音語幹で終わっている動詞の場合
「食べたい」はtabe-という母音語幹に-taiという要素がついている。
「開けたい」はake-という母音語幹に-taiという要素がついている。
「見たい」はmi-という母音語幹に-taiという要素がついている。
「述べたい」はnobe-という母音語幹に-taiという要素がついている。
子音語幹で終わっている動詞の場合
「行きたい」はik-という子音語幹に-itaiという要素がついている。
「飛びたい」はtob-という子音語幹に-itaiという要素がついている。
「集まりたい」はatsumar-という子音語幹に-itaiという要素がついている。
「乗りたい」はnor-という子音語幹に-itaiという要素がついている。
可能形 -rareru / -eru
母音語幹で終わっている動詞の場合
「食べられる」はtabe-という母音語幹に-rareruという要素がついている。
「開けられる」はake-という母音語幹に-rareruという要素がついている。
「見られる」はmi-という母音語幹に-rareruという要素がついている。
「述べられる」はnobe-という母音語幹に-rareruという要素がついている。
子音語幹で終わっている動詞の場合
「行ける」はik-という子音語幹に-eruという要素がついている。
「飛べる」はtob-という子音語幹に-eruという要素がついている。
「集まれる」はatsumar-という子音語幹に-eruという要素がついている。
「乗れる」はnor-という子音語幹に-eruという要素がついている。
この動詞が母音語幹で終わっているか、子音語幹で終わっているかを判別する方法
またこの動詞は母音語幹で終わっているのだろうか?子音語幹で終わっているのだろうか?と判別する方法を教えます。
いくつか方法はありますが、1つ分かりやすいやり方を挙げるなら「行く」という動詞の場合、ゆっくりと否定の形を口に出してnomanai…と発声してみましょう。その際にnomanaiのうちanaiのように「あない」の音が含まれている場合その動詞は子音語幹で終わっていることがわかります。
逆に「食べない」のように「食べる」の否定形を発声してみた場合tabenai...のように「あない」ではなく「えない」の音が含まれているなと感じたときはそれが母音語幹で終わっている動詞であると言えるのです。
過去形や連用形はちょっとルールが複雑
過去形
まず過去形は「食べる」や「開ける」や「見る」など母音語幹で終わっている動詞にはtaという接辞をつけるだけでよいです。
例: tabe-ta 食べた、ake-ta 開けた、 mi-ta 見た
ただ、「行く」や「飛ぶ」や「集まる」や「乗る」など子音語幹で終わっている動詞はそう単純にはいかないです。
それぞれ
ik-ta, tob-ta, atsumar-ta, nor-ta
のようにはならずに
itta 行った、tonda 飛んだ、atsumatta 集まった、notta 乗った
などのようになります。
連用形
連用形も同じく複雑です。
tabe-te 食べて, ake-te 開けて, mi-te 見て
のようにシンプルに動詞語幹の後に-teという要素をつけるだけでよいですが、子音語幹で終わる動詞たちに関しては
ik-te, tob-te, atsumar-te, nor-te
のようにならずそれぞれ
itte 行って, tonde 飛んで, atsumatte 集まって, notte 乗って
となります。
これらいわゆる音便というものですね。
これに関しては日本語母語話者なら自然とわかっていることですので、説明は省きます。
次回の記事では自動詞と他動詞に注目していきましょう。次回の記事→