はじめに
主は中期朝鮮語の知識があまりないので、ネット上にある中期朝鮮語の情報をお借りすることがありますが、そのまま転載するのではなく、できる限り分かりやすく噛み砕いて加筆させていただきます。なお、韓国語中級者以上の人を対象に書かせていただきます。なお、厳密な説明は避け、気軽に中期朝鮮語の姿を想像してもらえるように書いた。
言い換えれば、授業で覚えたことを自分の言葉で再度まとめているという感じである。中には丸々コピペしている部分もあるが、できるだけ自分の言葉で書くなどしてオリジナル性も保ちたい。
参考にしたサイト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9C%9F%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E8%AA%9E#%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E8%AA%9E%E3%81%AE%E6%99%82%E4%BB%A3%E5%8C%BA%E5%88%86
https://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/korean/middle/Saccent.html
中期朝鮮語の表記方法について
このウェブページでは中期朝鮮語の表記としてラテン文字を使う。
パソコンによっては古ハングルも表示できるが、スマホとかでは正常に表示されない場合もあるので、当ウェブページではラテン文字で表記することにする。
注意点は以下の通りである。
- ㅓはeと表記するが「エ」のように発音するのではなく、[ə]のように発音する。
- 古ハングルの一つであるㆍは@で表すことにする。
まぁどっちみち、下に載せている子音一覧と母音一覧にも書いてある通り、この丸で囲んだ部分のラテン文字を基本的に書くことにする
代表的な中期朝鮮語の特徴
代表的な中期朝鮮語の特徴と言えば以下が挙げられる。
・声調(アクセント)があった
・分かち書きしなかった
・애を「アィ(아이)」에を「オィ(어이)」のように発音していた
・形態主義ではなく、音素主義だった (「水を」を意味する現代朝鮮語は、「水」を意味する「물」と対格助詞である「〜を」を意味する「~을」が繋がり最終的に「물을」になるが、これを発音通りに記す音素主義で表記すると「무를」となる)
・体言や用言の変化が現代朝鮮語に比べ複雑だった。
子音
|
牙音 |
舌音 |
唇音 |
歯音 |
喉音 |
平音 |
ㄱ g [k] |
ㄷ d [t] |
ㅂ b [p] |
ㅅ s [s] |
ㅈ j [ʦ] |
ㆆ x [ʔ] |
激音 |
ㅋ k [kʰ] |
ㅌ t [tʰ] |
ㅍ p [pʰ] |
|
ㅊ c [ʦʰ] |
ㅎ h [h] |
濃音 |
ㄲ gg [kʼ] |
ㄸ dd [tʼ] |
ㅃ bb [pʼ] |
ㅆ ss [sʼ] |
ㅉ jj [ʦʼ] |
ㆅ hh [hʼ] |
鼻音 |
ㆁ q [ŋ] |
ㄴ n [n] |
ㅁ m [m] |
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流音・摩擦音 |
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ㄹ r [ɾ/l] |
ㅸ v [β] |
ㅿ z [z] |
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ㅇ ' [ɦ] |
中期朝鮮語に存在していた字母はㆁㅸㅿㆆㆅ。
시はスィのように
歯音であるㅅとㅆは現代朝鮮語では시や씨などのように次にㅣなど-i系統の音が来る場合、「シ」と発音されているが、中期朝鮮語においては「スィ」のように発音されていたとされる。
ㅅパッチムの発音について
나랏말싸미は「国の言葉が」という意味だが、これを現代朝鮮語では[나란말싸미]と発音する。このようにㅅの後にㅁが来るとㄴの音になるのを鼻音化と言う。
しかしながら、中期朝鮮語ではそれが適用されず、上記のように「ナランマルッサミ」ではなく「ナラスマルッサミ」のように発音されていたとされるし、もしくは濃音に類する音であったとする説もあり、いまだ決着していない。
ㅈㅊㅉはツァのように
歯音であるㅈㅊㅉは現代朝鮮語では、歯茎 硬口蓋 破擦音[ʨ][ʨʰ][ʨʼ]であるが、中期朝鮮語では歯茎 破擦音[ʦ][ʦʰ][ʦʼ]であったと考えられる。つまり、チャ行ではなく、ツァ行に近かったとされる。
したがって、中期朝鮮語では저と져などが互いに異なる音、つまり、저は「ツォ」のような発音で、져は「ツィョ」のような発音だったとされる。ただし、韓国語をカタカナで正確に書くのは難しいので、あくまで補助的なものだと思ってほしい。
摩擦音であるㅸ[β], ㅿ[z], ㅇ[ɦ]は語中の有声音(日本語におけるが、ば、ざなどの音)間にのみ現れる。
濃音であるㄲㄸㅃㅆㅉは中期朝鮮語では極めて限られた環境にのみ現れる。文字としてㄲㄸㅃㅆㅉが書かれるのは、多くの場合-ㄹ連体形の直後における平音の濃音化の場合に限られる。
濃音ㆅは hhie-(引く)およびそれを含む合成語にのみ現れる。この音の音価については、[ç]とする見解があるなど、なお検討の余地がある。
ㆆは特殊な表記の場合を除いて単独で現れることがなく、終声において常にㄹを伴いㅭの形で現れる。ㆆは独立した音素ではなく、次にくる平音が濃音化することを表したものと思われる。
語中においてㆀ " が現れる場合がある。これはiで終わる用言語幹に態転換接尾辞-'i-が接続する際に現れる。例:goi-(愛する)―goi"i-(愛される)。一説にㆀは[jj]のような狭窄した音と表したとされるが、同音異義語を視覚的に識別するために態転換接尾辞の付いた形をあえてㆀで表したとも考えられる。
複合子音について
中期朝鮮語には「複合子音」という概念が存在し、その中でも「ㅅ系複合子音」と「ㅂ系複合子音」の2種類があった。
ㅅ系複合子音
ㅺㅻㅼㅽ
ㅂ系複合子音
ㅳㅄㅶㅷㅴㅵ
これらのうちㅻを除くㅅ系複合子音と、ㅂ系複合子音のうちㅴㅵの2つについては、ㅅが表記通りに[s]を表したとする説と、ㅅが濃音を表したとする説があり、いまだ決着していない。
母音
陽母音 |
ㅏ a [a] |
ㅗ o [o] |
ㆍ @ [ʌ] |
ㅣ i [i] |
陰母音 |
ㅓ e [ə] |
ㅜ u [u] |
ㅡ y [ɯ] |
陽母音と陰母音の区別
中期朝鮮語には母音調和があった。
ㅏㅗㆍが陽母音で、ㅓㅜㅡが陰母音にあたる。
ㅣは中性母音。
陽母音の中に陰母音が混じったり、陰母音の中に陽母音が混じってはいけないというルールがある。
注意すべき母音の発音
ㅏㅗㅜㅡㅣは現代朝鮮語と大きく異なるということもないが、ㅓは現代朝鮮語のように[ʌ]や[ɔ]のように発音するのではなく、[ə]のように発音されたいたとされる。
また、代表的な古ハングルと言えるであろう「ㆍ」という母音は「下のア」を意味する「아래아」と呼ばれていて、[ʌ]の発音を表していた。
ㅐは「アィ」のように、ㅔは「オィ」のように
中期朝鮮語には、現代朝鮮語にも存在する上昇二重母音ㅑia[ja]、ㅕie[jə]、ㅛio[jo]、ㅠiu[ju]以外に、下降二重母音があった。ㅐai、ㅔeiは現代朝鮮語ではそれぞれ単母音[ɛ][e]であるが、中期朝鮮語においてはその文字の構成(ㅐはㅏ+ㅣ、ㅔはㅓ+ㅣ)通りに[ai]、[əi]と発音されたと見られる。同様にして、ㅚoi[oi]、ㅟui[ui]、ㆎ@i[ʌi]、ㅢyi[ɯi]が存在した。また、三重母音ㅒiai[jai]、ㅖiei[jəi]、ㆉioi[joi]、ㆌiui[jui]もあった。(二重母音)
つまり、「風に」を意味するはb@-r@-maiのように発音されていたとされる。
アクセント(声調)
中期朝鮮語にはアクセントが存在していた。一般的に声調と呼ばれていて、「朝鮮語にもかつて声調があった」と言われるが、実際中国語の声調とは性質が違う。
何も傍点がない場合、傍点が1つある場合、傍点が縦に2つある場合の3種類のパターンがある。下の画像のような感じで、文字の左側に付けていた。
何も左側に傍点がない場合、平声であり、低調を表し、
左側に傍点が1つある場合、去声であり、高調を表し、
左側に傍点が2つある場合、上声であり、低高調であり、低い調子から高い調子に移るイメージである。
文法
中期朝鮮語を知る上で絶対に見てほしい記事
ざっとでいいので中期朝鮮語の姿が見たい人は
gonggamdae.hatenablog.comをご覧ください。このページと内容が
重複することもあるがご了承ください。また、このページを見ると、中期朝鮮語の
大まかな発音や
文法的な特徴をかいつまんで理解することができます。あくまで参考程度に見たい人、または重複した内容でもいいので見たい方はご覧くださることをおすすめします。また、このページでは紹介し忘れている中期朝鮮語の特徴も含まれている可能性もあるため、できるだけ中期朝鮮語に関する情報を少しでもいっぱい知りたい人は見ることをおすすめします。
中期朝鮮語の主格・対格・属格・処格・共同格・具格・叙述格まとめ
下のページを見ることで、中期朝鮮語の主格助詞(〜は)・対格助詞(〜を)・属格(冠形格)助詞(〜の)・処格助詞(〜に)・共同格助詞(〜と)・具格助詞(〜で、〜を用いて)・叙述格助詞(〜だ)について知ることができます。