韓国語という言語を知るには文法より先に文字と発音を知る必要がある。そうでないと上手く説明ができないのだ。というわけで長くなるが、文字と発音の後に文法の説明をしていく。
この記事が「韓国語」と検索したときにGoogle検索結果の1ページなど上位に来ることを願いながら、この記事を書いていく。
- 韓国語が使われている地域
- 韓国語は「漢字」と「ハングル」を混用できる
- ハングルのシステムを覚えよう
- ハングルのシステムをさらに詳しく知ろう
- 分かち書きとは
- 連音化についてさらに詳しく説明
- 漢字語、固有語、外来語とは
- 文法
韓国語が使われている地域
韓国語は日本国内において学術的には朝鮮語(以下韓国語と言う)と言い、大韓民国(以下韓国と言う)と朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮と言う)と中華人民共和国の延辺朝鮮族自治州(えんぺん ちょうせんぞくじちしゅう)の公用語である。
延辺朝鮮族自治州とは、中華人民共和国国内にある「朝鮮族(ちょうせんぞく)」と呼ばれる少数民族が住む地域である。ちなみに、そこでは漢字とハングルが混在する町並みが見られる。
また、ごっちゃにされがちだが、朝鮮族と朝鮮民族(ちょうせんみんぞく)はまったく意味が違います。朝鮮族はさきほど言った中華人民共和国の少数民族のことで、朝鮮民族は韓国人や北朝鮮人のことを言います。
韓国語は「漢字」と「ハングル」を混用できる
韓国語は「漢字」と「ハングル」を使って表記することができる。
ちなみに、北朝鮮では漢字を廃止したが、一方、韓国では別に漢字を廃止したわけじゃない。ただ日本と中国に比べ大幅に使う頻度を減らしただけである。韓国では漢字を廃止したという話をよく聞くが、それはあくまで間違いであるため、ここで書いておく。
韓国における漢字事情について知りたい人は下の記事をご覧ください。
韓国語を表記するのに一般的にはハングルが使われるが、日本語においては漢字とかなを混ぜて文を書くように、韓国語においては漢字とハングルを混ぜて書くこともできるのである。
大部分の文で漢字を混ぜない、ハングルのみを使って書く文を「ハングル専用文(はんぐる せんようぶん)」と言う。逆に漢字とハングルを混ぜて文を書くことを「国漢文混用(こっかんぶんこんよう)」と言う。現在使われている韓国語はほとんどがハングル専用文である。
Naver News Archiveのサイトはこちら
参考までにMacのパソコンで韓国語入力時に漢字変換する方法を紹介した記事を載せておく。興味がある人はご覧ください。
ハングルのシステムを覚えよう
ハングルの文字の組み合わせの方法
基本的にハングルは一つ一つのパーツを適切な形に組み合わせて文字を組み立てます。(一部Wikipediaから持ってきています。ハングル)
1つ目が
のように左側のピンク部分に子音の文字を置き、右側の緑色部分に母音を置くパターンです。(例: 가)
2つ目が
のように上に子音を、下に母音を置いて、文字が作られるパターンです。(例: 고)
3つ目が
のようにピンク部分に子音が、緑色部分に母音が来るパターンです。(例: 과)
そして4つ目ですが
このパターンでは、紫色が新たに出てきたわけですが、紫色部分には末子音(末子音はパッチムと言います。これからも出てくるので覚えておいてください)が置かれます。つまり、ピンク部分には子音が、緑色部分には母音が、紫色部分には子音が来ます。(例: 간)
例えば、英語のmomの最後の「m」に近い感覚です。韓国語では最後に子音が来ることがよくあるのです。ちなみに、日本語は「ん」だけが唯一最後に来られる子音です。
5つ目ですが、
このパターンでは、ピンク部分には子音が、緑色部分には母音が、紫色部分には子音(末子音)が来ます。(例: 곤)
6つ目ですが、
このパターンでは、ピンク部分には子音が、緑色部分には母音が、紫色部分には子音(末子音)が来ます。(例: 관)
以上がハングルの組み合わせの方法の紹介でした。
補足
Wikipediaにあった説明がとても分かりやすかったのでそのまま載せる(原文ママ)。上で説明した内容と重複することはありますが、知識を強化する意味で読んでほしい。
字母(じぼ)を2つ以上組み合わせて1文字を成す。
*字母とはハングルにおいてはㄱやㅏなどハングルのパーツ個々のことを意味します。
1文字の構成は子音字母 + 母音字母あるいは子音字母 + 母音字母 + 子音字母のどちらかである。音節頭の子音字母を初声、母音字母を中声、音節末に来る子音字母を終声またはパッチム(받침。「支えるもの」の意)と呼ぶ。
初声と中声の組み合わせ方には3つのタイプがある。
初 中 가 ga 中声が縦長の字母(具体的には「ㅏ、ㅑ、ㅓ、ㅕ、ㅣ、ㅐ、ㅒ、ㅔ、ㅖ」)のときは、初声を左に、中声を右に配置する。
初 中 고 go 中声が横長の字母(具体的には「ㅗ、ㅛ、ㅜ、ㅠ、ㅡ」。古ハングルでは「ㆍ」も含む)のときは、初声を上に、中声を下に配置する。
初 中2 中1 과 gwa 中声が横長と縦長の字母の組み合わせ(具体的には「ㅘ、ㅙ、ㅚ、ㅝ、ㅞ、ㅟ、ㅢ」)のときは、初声を左上に、中声を下から右にかけて配置する。 終声があるときは、これらの下に終声を置く。
初 中 終
初 中 終
初 中2 中1 終 간
gan곤
gon관
gwanここから原文ママで掲載
ハングルのシステムをさらに詳しく知ろう
上でも言った通り、ハングルは下のように母音を表す字母と子音を表す字母から成り立っている。
下でもそれぞれの詳しい字母の配置(配列)の仕方は説明するが、左もしくは左上に子音の字母が来て、右または右上に母音の字母が来て(これをCVと呼ぶ(consonentは子音を意味し、vowelは母音を意味し、それぞれの頭文字であるCとVを並べたものである))、それだけで終わる場合もあれば、下にパッチムと呼ばれる要素が来ることもある。(CVC)
パッチムは韓国語で「支えるもの」という意味ですが、末子音(まっしいん)と言い換えることもできます。文字通りハングルの "末(まつ)" にある音ということである。
つまり、ハングルは基本的に必ずCVつまり「子音+母音」の組み合わせか、CVCすなわち「子音+母音+子音」の組み合わせになる。
「こんにちは」を意味する「안녕하세요」について
以下は「こんにちは」を意味する「안녕하세요」である。
ちなみに、日本語と違って朝、昼、夜どの時間帯でも使えるのだ。
韓国語のあいさつである「안녕하세요」は日本語みたいに「おはようございます」と「こんにちは」と「こんばんは」を使い分けない。
ちなみに直訳すると「安寧でいらっしゃいますか?」である。
語頭なのか語中または語末なのかによって発音が変化する場合がある
以下は「キムチ」を意味する「김치」という文字列がどう成り立っているかを表したものである。
下でも説明するが、特定の子音字母たちは語頭にあるか、語中または語末にあるかで発音が若干変わるという性質がある。例えば、以下の김치の中の1文字目にある「ㄱ」という字母は語頭に来ていて、kの音で発音する。例えばこのㄱという字母が2文字目以降に来ているときはgの音で発音するのだ。
そして下の김치は見たら分かる通り、1文字目に来ているため、kではなくgを選ばないといけないので、kimchiと発音する。
つまり例えば김치はkimchiとㄱがkで発音されるが、例えば「時間」を意味する「시간」はshiganとgの音で発音される。
他の例で言えば、「放送」を意味する「방송」という語はㅂ(語頭ではpの音、語中または語末ではbの音)という字母が語頭に来ているためpの音で発音し結果的に「pangsong」と発音するが、これが「旦那」を意味する「서방」はㅂが語末に来ているためbの音で発音され結果的に「sbang」と発音される。
どの子音字母において「語頭、語中/語末」で発音がどう変わるのかは下で示した。
連音化とは
以下は「日本人」を意味する「일본인」という文字列である。
上で語頭、語中/語末において読み方が違ってくるという点について説明したが、この일본인の中の「본」の「ㅂ」という字母も上でも説明した通り語頭ではpの音、語中または語末ではbの音で発音される。
そして、일は「il, イル」、본は「bon, ボン」、인は「in, イン」と発音するが、韓国語には「連音化(れんおんか)」という概念があり、「イルボニン」と発音される。
後で説明するが、ここでも軽く紹介する。
連音化とは「前の文字の中の末子音と、次に来る文字の母音が連なって発音される」という意味である。例えば「住みます」を意味する「살아요」は살がsalで、아がaで、요がyoであり、살(sal)の後に母音である아(a)が来るが、살(sal)の中のㄹ(l)が2文字目にある母音aと繋がって「ラ, r(l)a」のように発音されるのである。つまり1文字1文字読めば「サルアヨ, sal a yo」のように発音されるが、通常は連音化して「サラヨ, sar(l)ayo」と発音されるのだ。
そして、下の일본인も文字通り「イルボンイン, il bon in」と発音するのではなく、連なるように発音し「イルボニン, ilbonin」と発音される。2文字目の「본, bon」と「인, nin」が連なって「ボンイン, bon in」ではなく「ボニン, bonin」と発音されるのだ。
連音化については下の方でも別の例を交えて説明する。
まずはすべてのハングルを覚えましょう。最初は暗記できなくてもいいので、この一覧を見ながら「語頭ではホニャララと読まれるんだな」、「語中または語末ではホニャララと読まれるんだな〜」と軽く認識しておきましょう。
このページ全体では「マッキューン・ライシャワー式」略して「M-R式」という韓国語のローマ字表記を少しだけ改変したものを併記していきたいと思います。ちなみに韓国語のローマ字転写方式には
- 北朝鮮1992年式
- 韓国2000年式
- マッキューン・ライシャワー式
- イェール式
- 福井玲式
の5種類があるとされていますが、上でも言ったようにこのページ全体では「マッキューン・ライシャワー式」を少し改変したものを使っていきたいと思います。
韓国語初心者にはこのマッキューン・ライシャワー式が一番直感的で分かりやすいと判断したからです。
とりあえず子音字母と母音字母のリストを載せる。これらがハングル字母のすべてである。
まずは下に2つ表を載せておく。さらにその2つの表の下にそれぞれの字母の詳しい説明を載せた。下の2つの表は簡易的なものであるため、ちゃんとその下にある1個1個の詳しい説明を覚えていただきたい。
<子音字母の一覧表>
下に子音字母を表にまとめた。あくまで簡易的な表である。
補足
この表では上の「子音字母の簡易的な表」とは違って最後列にカタカナ表記を示しておいた。しかしながら、韓国語は日本語と違い母音の数が多いため、カタカナ表記を過信しすぎないでいただきたい。母音の数が多いとは、言い換えれば、日本語よりも細かく母音を区別するという意味である。さらにいえば、韓国語には2種類の「オ」、2種類の「ウ」がある。「オ」にあたる音が「ㅗ」と「ㅓ」であり、「ウ」にあたる音が「ㅜ」と「ㅡ」である。それぞれ韓国語においてはまったく違う音であると認識する。
例えば当然「カ」と「ガ」が違う音であるように、韓国語のㅗとㅓ(またはㅜとㅡ)は違う音なのである。
下の表の中の2列目「マッキューン・ライシャワー式(改変版)」と3列目の「カタカナ表記」があるが、できるだけ「マッキューン・ライシャワー式(改変版)」をメインに見ていただきたい。
なぜなら、マッキューン・ライシャワー式(改変版)では音の細かな区別ができているのに対してカタカナ表記ではその区別を一切していないからである。例えば、ㅗをマッキューン・ライシャワー式(改変版)ではoと表記し、ㅓを
<母音字母の一覧表>
本来のマッキューン・ライシャワー式とは異なり、韓国語学習者にとって分かりやすく改変した韓国語のローマ字転写法なので「このローマ字転写は間違っている」と言われるかもしれませんが、ご理解ください。このためだけに考えたローマ字転写法なのです。
平音、濃音、激音の違い
ハングルの子音には基本的に「平音(へいおん)」、「濃音(のうおん)」、「激音(げきおん)」の3種類がある。
まずㄱを例にとると、ㄱ(기역, キヨク)の中に、ㄱとㅋとㄲの3種類が含まれているのです。それぞれ기역(キヨク), 키읔(キウク), 쌍기역(ッサンギヨク)と言う名称がついている。
平音
まず平音であるㄱですが、語頭ではkの音、語中または語末ではgの音になります。言い換えれば、語頭にㄱが含まれた一つの文字が来ればそれはカ行の音で発音され、ㄱが含まれた文字が語中または語末に来ればガ行の音で発音されます。ただ、実際には例外もあります。
激音
そして次に激音であるㅋです。これは強く息を出して発音するkの音(カ行)です。わかりやすく「k'」と「'」をつけよう。
濃音
そして最後に濃音であるㄲです。これは「悪化(あっか, akka)」と発音するときの「kk」の音です。
それぞれㅏという母音をつなげると、가, 카, 까となります。
それでは次にハングルの子音字母をずらりと並べてみよう。
ㄱ, ㄴ, ㄷ, ㄹ, ㅁ, ㅂ, ㅅ, ㅇ, ㅈ, ㅊ, ㅋ, ㅌ, ㅍ, ㅎ
↑これが韓国の辞書でも使われるような一般的な子音の並びです。一般的に「가나다(カナダ または ガナダ)順」と呼ばれている。日本語でいう「あいうえお順」みたいなものだ。
このうち、見れば分かるように平音と激音は가나다順の中に含まれている。
ㄱ, ㄴ, ㄷ, ㄹ, ㅁ, ㅂ, ㅅ, ㅇ, ㅈ←ここまでのㅇ以外すべてが平音であり
ここからが激音→ㅊ, ㅋ, ㅌ, ㅍ, ㅎ←このㅎだけは激音ではない
これをさらに説明すると
ㄱに対応する激音はㅋであり、ㄷに対応する激音はㅌであり、ㅂに対応する激音はㅍであり、ㅈに対応する激音はㅊである。
ただ実際には上の가다나順には平音と激音は含まれていても濃音は含まれていないのである。
そこでどの文字にどんな濃音が対応するのか表で見ていこう。
こうである。すべての平音に対して濃音または激音が付いているわけではない。上の表が平音、激音、濃音のすべてである。これ以上に(子音の)ハングルが出てくることはないので安心していい。(関係ないが、15世紀ごろに話されていた朝鮮語である中期朝鮮語においてはさらに上の表以上に多くの字母を使っていた。しかしながら現代に至る中でこの数まで少なくなっていった。)
子音
ㄱ(語頭ではkの音、語中または語末ではgの音)
語頭ではkの音、語中または語末ではgの音になる。
ㄲ(kk)
上のㄱの濃音バージョン。ㄱが2つ重なるイメージで、例えば母音ㅏ(ア、a)とつなげて까となると、「ッカ」のように発音される。ラテン文字転写すると까はkkaのようになる。kkの音を表す。
ㅋ(k')
息を吐いて発音するkの音。息を吐いて発音するカ行。
ㄴ(n)
nの音を表す。例えば「나」は、nの音を表すㄴと母音の1つであるaを表すㅏを組み合わせて「ナ, na」と発音する。「산」は以下で紹介するsまたはサ行を表すㅅに母音aを表すㅏにnを表すㄴを組み合わせたもので「サン, san」と発音する。
ㄷ(語頭ではtの音、語中または語末ではdの音)
語頭ではtの音、語中または語末ではdの音になる。
ㄸ(tt)
上のㄷの濃音バージョン。例えば母音ㅏ(ア、a)とつなげて따と書くと「ッタ」のように発音される。ラテン文字に転写すると따はttaのようになる。ttの音を表す。
ㅌ(t')
tの音を表す。息を強めに吐いて発音するタ行。
ㄹ(ラ行)
ちょっと上で紹介したものとは違って特殊です。後で紹介する初声(しょせい)にㄹの字母が入ったらラ行で発音する。例えば、「라」は「ラ」と発音する。そして、終声(しゅうせい)にㄹの字母が入るときは日本語の音にはない「そり舌側面接近音[ɭ]」で発音される。そり舌側面接近音
また、ㄹ同士が重なって現れた後に母音iを表すㅣやyaを表すㅑ、yǒを表すㅕ、yoを表すㅛ、yuを表すㅠが続く場合、「硬口蓋側面接近音[ʎ]」の音になることもある。硬口蓋側面接近音[ʎ]
このように終声におけるㄹの発音を文だけで説明するのは大変困難である。
ㅁ(m)
mの音を表す
ㅂ(語頭ではpの音、語中または語末ではbの音)
語頭ではpの音、語中または語末ではbの音を表す
ㅃ(pp)
上のㅂの濃音バージョン。例えば母音ㅏ(ア、a)をつなげて書くと「ッパ」のように発音される。ラテン文字に転写すると빠はppaのように表記される。ppの音を表す。
ㅍ(p')
pの音を表す
ㅅ(s)
sの音を表す。またはㅅにiを表す子音字母であるㅣを組み合わせると「シ, shi」の音になる。
例: 사(sa, サ), 시(shi, シ), 수(su, ス), 스(sǔ, ス), 세(se, セ), 새(sě, セ), 소(so, ソ), 서(s
, ソ)ㅆ(ss)
上のㅅの濃音バージョン。例えば母音ㅏ(ア、a)をつなげて書くと「ッサ」のように発音される。ラテン文字に転写すると싸はssaのように表記される。ssの音を表す。
ㅇ(初声のときは母音であることを表す 、終声の時はng(ŋ)の音)
これも他の字母とは違って特殊である。
これは初声の位置にㅇが来るときは母音だけであることを表す。また、初声の位置、つまりパッチムである場合ng(ŋ)の音を表す。
後ほども説明するが、一般的に韓国語には2種類の「ん」があると言われている。-n, -ng, -mの3つである。例えば「산」、「상」、「삼」などがある。それぞれsan, sang, samである。
日本語の「案内(あんない)」、「案外(あんがい)」、「新聞(しんぶん)」という語を例にとると、韓国語の-ㄴ(-n)の発音は日本語の「案内(あんない)」というときの「ん」であり、韓国語の-ㅇ(-ng)の発音は日本語の「案外(あんがい)」というときの「ん」であり、韓国語の-ㅁ(-m)の発音は日本語の「新聞(しんぶん)」というときの「ん」である。
それぞれ同じ「ん」でも下の位置が違うのが分かるだろうか。
ㅈ(語頭ではchの音、語中または語末ではjの音)
語頭ではch、語中または語末ではjの音を表す。
例えば語頭においては자, 지, 주, 즈, 제, 재, 조, 저をそれぞれ「チャ」、「チ」、「チュ」、「チュ」、「チェ」、「チェ」、「チョ」、「チョ」と、語中または語末に来るときは「ジャ」、「ジ」、「ジュ」、「ジュ」、「ジェ」、「ジェ」、「ジョ」のように発音される。
ㅉ(cch)
「あっち(acchi)」の「cch」の音に近い。
자が語頭において「チャ」と発音するのであれば짜は「ッチャ」のように発音される。
ㅊ(ch')
chの音を表す。息を強く吐いて発音するchの音。語頭において자を「チャ」と発音するのなら차は息を強めにして「チャ」と発音する。
ㅎ(h)=hの音を表す
hの音を表す。日本語のハ行に近い。
母音
ㅏ(a)
アの発音
ㅑ(ya)
ヤの発音
ㅓ(ǒ)
日本語より少し口を大きめに開き発音する「オ」の音
ㅕ(yǒ)
日本語より少し口を大きめに開き発音する「ヨ」の音
ㅗ(o)
口をすぼめたときのオの発音
ㅛ(yo)
口をすぼめたときのヨの発音
ㅜ(u)
口をすぼめたときのウの発音
ㅠ(yu)
口をすぼめたときのユの発音
ㅡ(ǔ)
日本語の「ウ」よりも口を横に開きながら発音する
ㅣ(i)
イの発音
ㅐ(ě)
エの発音
ㅒ(yě)
イェの発音
ㅔ(e)
2つ上のㅐ(エ)と同じ発音
ㅖ(ye)
2つ上のㅒ(イェ)と同じ発音
ㅘ(wa)
ワの発音
ㅙ(wě)
ウェの発音
ㅚ(we*)
*ウェの発音
文字通りに読んだら「ㅗ」と「ㅣ」が結合して「オィ」のようになるが、そもそも発音しづらいため「ウェ」と発音する。
*マッキューン・ライシャワー式を少しだけ改変したローマ字表記で表そうとしましたが、ちょっと難しかったので一時的に便宜上、weというローマ字表記にしています。
ㅝ(wo)
ウォの発音
ㅞ(we)
ウェの発音
ㅟ(wi)
ウィの発音。最初の「ウ」は口をすぼめて発音する
ㅢ(ǔi)
ウィの発音。最初の「ウ」は口をすぼめず、横に広げながら発音する
分かち書きとは
日本語は文字と文字の間に空白を入れないで書くのに対して、韓国語は分かち書きと言い、文節と文節の間にスペースを入れる文の書き方をする。
ちなみに、分かち書きの対義語である続け書きをする表記体系をする言語は日本語、中国語、タイ語くらいで、世界の多くの言語は分かち書きを行う。
例
私は学生です。 ←日本語は続け書きを行い、間にまったくスペースが入っていない
저는 학생입니다. ←韓国語は分かち書きを行い、저는と학생입니다. の間にスペースが入っている
I am student. ←英語も韓国語と同様に分かち書きを行う。Iとamとstudentの間にスペースが入っている
連音化についてさらに詳しく説明
連音化とは、前の子音と次に来る母音が合わさって発音されることを指します。
例えば、「韓国語」を意味する「한국어」は、한=han/ハン、국=guk/グク、어=ǒ/オ とそれぞれ発音しますが、普段は韓国語話者は「ハングクオ」と発音しているわけではなく、流れるように「hangugǒ/ハングゴ」のように発音しているのです。
連音化の他の例
일본어(意味: 日本語)は、1文字ずつ読むと「イルボンオ」となるが、普段は連音化をして、「イルボノ」と発音される。
일본인(意味: 日本人)は、1文字ずつ読むと「イルボンイン」となるが、通常は連音化をして、「イルボニン」と発音される。
일본이에요.(意味: 日本です。)は1文字ずつ読むと「イルボンイエヨ」となるが、通常は連音化をして、「イルボニエヨ」となる。
上の例文3つをそれぞれローマ字で表してみると連音化の仕組みがよく分かる。
일본어はil bon ǒだが、通常は連音化したilbonǒのように発音される。
일본인はil bon inだが、通常は連音化したilboninのように発音される。
일본이에요はil bon i e yoだが、通常は連音化したilbonieyoのように発音される。
つまり、発音がすべてつながるのが連音化だ。
漢字語、固有語、外来語とは
日本語の単語は漢語(かんご)、固有語(≒大和言葉)、外来語の3つに分けられるのと同じで、韓国語の単語も漢字語(かんじご)、固有語、外来語に分けられる。
例を挙げると、漢字語(日本語では「漢語」)は「飲料」、固有語は「飲み物」、外来語は「ドリンク」などであるが、韓国語にも日本語とほとんど似た概念がある。
ただし、特性上、漢字語は漢字表記もできるが、現代韓国語ではハングルのみで書いて、固有語はそもそも漢字表記がなくて、外来語もハングルで表記する。
文法
語順
日本語は「主語+目的語+動詞」だが、韓国語も日本語と同様に「主語+目的語+動詞」だ。
저는 학교에 가서 영어를 공부해요.
私 は 学校 に 行き 英語 を 勉強 します
このように助詞も含め、ほとんど一対一で対応します。
また、韓国語は「修飾語+被修飾語(形容詞+名詞)」の語順だ。
빨간 차.
赤い 車
재미있는 아야기.
おもしろい 話
助詞
普通の助詞
韓国語の助詞の仕組みは日本語ととても似ていますが、前に来る単語が母音で終わっているか、パッチムで終わっているかで付く助詞が違います。
은/는=〜は
解説
「私」を意味する「나(na/ナ)」に助詞である「〜は」をつなげて「私は」と言いたいときは、나というハングルにはパッチムがないため、パッチムがない単語につく「는」がくっついて、「나는(na nǔn/ナヌン)」となる。
そして、「韓国」を意味する「한국(han guk/ハングク)」を「韓国は」としたいときは、「한국」の最後の文字である「국」にパッチムㄱが見えるので、「한국은(ハンググン/han gug ǔn)」となる。
また、その際は連音化をして「한국은(han guk ǔn(ハン グク ウン))」は「hangugǔn(ハンググン)」のように発音されることにも気をつけてほしい。
이/가=〜が
解説
これも上と同様に、パッチムで終わる単語には이(イ)がつき、パッチムで終わらない母音で終わる単語には가(ガ)がつく。
例
「韓国が」=「한국이」←국が見て分かる通り子音「ㄱ」で終わっているため、이がつく。
「韓国語が」=「한국어가」←어は見て分かるように母音で終わっているため、가がつく。
을/를=〜を
解説
これも上と同様に、パッチムで終わる単語には을がつき、パッチムがつかない母音で終わる単語には를がつく。
例
「私を」=「나를」
「韓国を」=「한국을」
에=〜に
解説
これについては、パッチムのありなし関係なしに常に에が来ます。つまり、上のものより複雑ではありません。
例
韓国に行きたいです。=한국에 가고 싶어요. (한국=韓国、에=〜に、가고 싶어요=行きたいです)
学校に行きます。학교에 가요. (학교=学校、가요=行きます)
에게=〜に(人に対して)
解説
これは人に対して「誰々に」というときに使う助詞です。パッチムのありなし関係なしに常に에게になります。
例
彼に話しました。=그에게 말했어요. (그=彼、에게=〜に、말했어요=話しました)
私はジェインに頼んだ。=나는 재인에게 부탁했어요. (재인=ジェイン(人名)、부탁했어요=頼みました)
한테=〜に(人に対して)
解説
これは上の에게とほとんど同じ意味です。에게を使っても한테を使ってもさほど意味は変わりません。
例
彼に話しました。=그한테 말했어요. (한테=〜に)
私はジェインに頼んだ。=나는 재인한테 부탁했어요.
에서=〜から、〜で
解説
用法が大きくわけて2つあります。
①「家から学校まで」みたいなある場所を起点にするときに使うときに使う
家から学校に通う。=집에서 학교에 다닌다. (집=家、에서=〜から、다닌다=通う)
②「どこどこで」のように場所を表すときに使う
家で勉強します。=집에서 공부해요. (에서=~で、공부해요=勉強します)
로/으로=〜へ(方向を表す)、または 〜で(手段や道具を表す)
解説
こちらも用法がいくつかあります。
①「〜へ」のように方向を表す助詞である。
에とちょっと意味が似ているんですが、에との違いは、에は「どこどこ"に"」と目的地がはっきりしているのに対して、로/으로は「どこどこ"方面へ"」のようにはっきりした目的地を示しているというよりは方向を表します。
例文
学校へ(の方面へ)行きます。학교로 가요. (학교=学校)
海へ行(の方面へ)きます。바다로 가요. (바다=海)
ヨーロッパへ(方面へ)行きます。 유럽으로 가요. (유럽=ヨーロッパ、으로=〜へ、가요=行きます)
駅へ(の方面へ)行きます。역으로 가요. (역=駅)
↑
またこれは上2つの例文の학교と바다はパッチムで終わらない単語なので로で、下2つの例文の유럽と역はそれぞれ見れば分かる通りパッチムで終わる単語なので으로で終わっています。
로/으로を上で説明した에に置き換えるとこんな感じになります。
・학교로 가요=学校へ(の方面へ)行きます。
・학교에 가요=学校に(という目的地に)行きます。
・바다로 가요=海へ(の方面へ)行きます。
・바다에 가요=海に(という目的地に)行きます。
・유럽으로 가요=ヨーロッパへ(の方面へ)行きます。
・유럽에 가요=ヨーロッパに(という目的地に)行きます。
・역으로 가요=駅へ(方面へ)行きます。
・역에 가요=駅に(という目的地に)行きます。
②「〜で(〜を用いて)」のように手段を表す。
2つ目の로/으로の用法として、手段を表すときにも使います。
例文
車で行きます。=차로 가요.(意味: 차=車、로=〜で(〜を用いて、〜を利用して))
剣で切ります。=검으로 잘라요. (意味: 검=剣、으로=〜で(〜を用いて、を利用して)、잘라요=切ります)
上の例文のように物の名前の後に로または으로をつけます。
これも차(車)のようにパッチムで終わらない単語の後には로を、검(剣)のようにパッチムで終わる単語の後には으로をつけます。
의=〜の
解説
これは「◯◯の」のように属格を表します。パッチムのありなしに関係なく、常に의の形で使われます。これは本来文字通り[의(ウィ)]と発音と発音するのが正式的ですが、韓国語ネイティブはだいたい[에(エ)]と発音します。韓国語の入門書にもこのように書かれています。
例文
彼の時計=그의 시계 (그=彼、시계=時計)←読み方は「クエ シゲ」
携帯電話の機能=휴대전화의 기능 (휴대전화=携帯電話、기능=機能)←読み方は「ヒュデジョヌァエ ギ(または "キ")ヌン」
과/와=〜と
解説
「AとB」のように「〜と」を表します。
これはパッチムのない単語の後に続くときは와が、パッチムある単語の後に続くときは과がつながります。
例文
私と彼=나와 그.(와=〜と)
ゲームとスポーツ=게임과 스포츠(게임=ゲーム、과=〜と、스포츠=スポーツ)
랑/이랑=〜と
解説
これも上の과/와とまったく同じ意味を持ちます。つまり「◯◯と」を意味します。
과/와よりは少し口語よりでしょうか。より会話調のように感じます。
例文
私と彼。=나랑 그. (랑=〜と)
ゲームとスポーツ。=게임이랑 스포츠. (이랑=〜と)
하고=〜と
解説
これも上の2つと同じで「◯◯と」を意味します。韓国語には「◯◯と」を意味する助詞が多いんです。これを書いている筆者も「多すぎだろ」って思ってます。
またこれはパッチムがあってもなくても形は変わりません。
例文
私と彼。=나하고 그. (하고=〜と)
ゲームとスポーツ。=게임하고 스포츠.
부터=〜から
解説
「〜から」のように起点を表します。
上で説明した「~에서」も「〜から」を意味し、困惑する人もいるかもしれませんが、「에서」は場所を指し示して「どこどこから」を意味するのに対して、今回紹介する부터は場所以外のものを示して「〜から」と言いたいときに使えます。
例えば、「10時から」と言いたいときに「열 시부터」のように言うことができます。
例文
10時から集まります。=열 시부터 모여요. (열=10、시=時、부터=〜から、모여요=集まります)
今から会いますか?=지금부터 만나요? (지금=今、만나요=会います(または 会いますか))
明日から学校に行きます。=내일부터 학교에 가요. (내일=明日)
까지=〜まで
解説
上で説明した부터と対になる助詞です。「◯◯まで」を意味します。パッチムで終わる単語の後にもパッチムで終わらない単語の後にも同じ形がつきます。
例文
どこまで行きますか?=어디까지 가요? (어디=どこ、까지=〜まで)
提出期限は明日までです。=제출 기한은 내일까지예요. (제출=提出、기한=期限)
家まで行きます。=집까지 가요.
↑
このように까지に関しては「"家" まで」のように場所を示す言葉を持ってきても大丈夫です。
尊敬語の助詞
実は日本語とは違い、韓国語は助詞にも敬語がある。
またこれら敬語の助詞は前の名詞の最後の文字のパッチム有無に関係なしに常に同じ形が来ます。
께서=「〜が」を意味する〜이/가の敬語
例文
先生がおっしゃいました。=선생님께서 말씀하셨습니다.(선생님=先生、께서=「〜が」を意味する「~이/~가」の尊敬語、おっしゃいました=말씀하셨습니다)
께서는=「〜は」を意味する〜은/는の敬語
例文
先生はいらっしゃいます。=선생님께서는 계십니다.(께서는=「〜は」を意味する「~은/~는」の尊敬語、いらっしゃいます=계십니다)
께=「〜に」を意味する〜에게または~한테の敬語
例文
先生にお尋ねします=선생님께 여쭙니다.(께=「誰々 "に"」を意味する「~에게」または「~한테」の尊敬語、お尋ねします=여쭙니다)