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中期朝鮮語について知っておくべきことまとめ【中期朝鮮語】

中期朝鮮語で知っておくべきことを雑多にまとめてみた。

古ハングルを使っている。スマホだと見られないときもあるため、念のため必要に応じてラテン文字表記も()内に併記する。

ㆍ(アレア)を表すのに@を使う。またㅓの音にはeを使う。eはあくまで「エ」の音ではないため注意が必要。

 

音韻

 傍点

中期朝鮮語にはアクセント(当時は声調と呼んでいた)があった。傍點(傍点)と言い、・のような見た目をしたものと︰みたいな見た目をしたものと何もないものの3つがあった。

・のように点が1つの場合その右隣にある音節を高めに発音し、︰のように点が2つある場合その右隣にある音節を低い調子から高い調子に移すような発音をし、何も点がない場合その音節を低い調子で発音するというルールがあった。

中期朝鮮語は形態主義というより表音主義だった

現代朝鮮語では水を意味する물に対格助詞である-을をつなげると물을のようになるが、中期朝鮮語では発音通りに表記していた。つまり、中期朝鮮語で水は믈だったのだが、そこに対格助詞である-을をつなげると믈을ではなく므를のように表記していた。

ㆍアレア

当時はㆍ(アレア)という母音があった。発音は[ʌ]。

ㅓの音

ㅓの発音は現代朝鮮語と大きく違い、[ə]だった。

組み合わせ通りに発音していた

ㅐは現代朝鮮語では[ㅔ(エ)]のように発音しているが、当時は[ㅏㅣ]のように発音していた。ㅔは現代朝鮮語ではさきほどと同じく[ㅔ]のように発音しているが、当時は[ㅓㅣ]のように発音していた。

ようするに、게は当時は[거이]のように、개は[가이]のように発音されていた。つまり、当時は字母の組み合わせ通りに発音されていたわけだ。

시はsiのように発音

시は「スィ」のように発音していた。

パッチム-ㅅの発音

パッチムとして使われる-ㅅは中期朝鮮語では「スー」のように発音されていた。

消滅した字母

訓民正音が作られたときにはあったが、現代には消滅してしまった文字は子音に関してはㅿㆁㆆㅸㆀㆅ、母音に関してはㆍㆎがある。

その他にも当時の朝鮮語は中国音韻学をお手本にしていた部分が多かったため、中国語の音韻を表すためのハングル字母もあった。

文法

中期朝鮮語には-가がなかった

現代朝鮮語の主格-가は中期朝鮮語ではなかった。

名詞に助詞が付いたときの形

名詞に助詞が付いた形が現代朝鮮語とは違い、厄介である。

木を意味する나모は「木が」と言うときは남기となる。

弟を意味する아ᅀᆞ(az@)を「弟が」と言い換えたいとき아ᇫ이(az-i)となる。

粉をᄀᆞᄅᆞ(g@r@)と言うが「粉が」と言うときはᄀᆞᆯ이(g@r-i)と言う。

一日をᄒᆞᄅᆞ(h@r@)と言うが「一日が」とᄒᆞᆯ리(h@rri)と言う。

このように現代朝鮮語とは違って面倒くさい。

前の名詞が陽性母音なのか陰性母音なのかによって次に来る助詞が違っていた

陽性母音ㅏㅗㆍで終わる名詞か、陰性母音ㅓㅜㅡで終わる名詞かで後に続く助詞が違っていた。

現代朝鮮語では前の名詞が子音で終わるか母音で終わるかによって은が使われるか는が使われるか決まっていたが、中期朝鮮語においてはそれに加えて、その前の名詞が陽性母音なのか陰性母音なのかによってさらに変わった。

私は→나ᄂᆞᆫ(nan@n)

私を→나ᄅᆞᆯ(nar@l)

動詞の連用形

中期朝鮮語の動詞の活用も現代朝鮮語と異なる。

植える→시므다 植え(て)→심거

異なる→다ᄅᆞ다(dar@da) 異なって(異なり)→다라

知らない→모ᄅᆞ다(mor@da) 知らなくて(知らず)→몰라

する→ᄒᆞ다(h@da) し(て)→ᄒᆞ야(h@ya)

ある→잇다 あって(あり)→이셔(※イスィヨのように発音)

ない→업다 なく(て)→업서

理由「〜から」「〜ので」を表す文法

「〜から」のように理由を表すには-ᄅᄊᆡ(-lss@i)が使われていた。

例: するから→ᄒᆞᆯᄊᆡ(h@lss@i)

理由などを意味する-거늘

現代朝鮮語でも-거늘は「〜であるので」「〜であるからには」「〜であるが故に」を意味するが、中期朝鮮語でも-거늘は使われていた。

逆接「〜けど」「〜が」を表す文法

「〜けど」のように逆接を表すには-ᄃᆡ(-d@i)が使われていた。

例: するけど(するが)→ᄒᆞ요ᄃᆡ(h@yod@i)またはᄒᆞᄃᆡ(h@d@i)

あるけど(あるが)→이쇼ᄃᆡ(isyod@i)

違うけど(違うが)→아니로ᄃᆡ(anirod@i)

おっしゃるけど(おっしゃるが)→니ᄅᆞ샤ᄃᆡ(nir@syad@i) ※샤は시の連用形

住むけど(住むが)→사로ᄃᆡ

仮定「〜なら」「〜れば」を表す文法

上の2つと違って中期朝鮮語でも現代朝鮮語と同じく-면を使う。ただし、発音はちょっと違っていて、「ミョン」と「ミュン」の中間だと思っとけばいいだろう。

属格助詞「〜の」にあたる中期朝鮮語

現代朝鮮語では属格助詞と言えば-의のみだが、中期朝鮮語にはさらに数が多かった。

ㅅ/의/ᄋᆡの3つがあった。

ㅅは無情名詞もしくは敬意を表する相手に使われ、ᄋᆡは陽性母音で終わる有情名詞の後に付き、의は陰性母音で終わる有情名詞の後に付いた。

現在であることを表す-노-

願う。→ᄇᆞ라노라(現代朝鮮語: 바란다.) 

主に一人称と共に使う。

動詞の現在形を表す-ᄂᆞ-(-n@-)

現代朝鮮語の動詞に-ㄴ다/는다が付くことで現在形を表せられるが、中期朝鮮語では-ᄂᆞ-(-n@-)が付いていた。

丁寧さを表す-ᅌᅵ-(-ŋi-)

丁寧さを表すために-ᅌᅵ-(-ŋi-)が使われていた。※ㆁは[ŋ]の音。

例: 来られたのですか?→오시니ᅌᅵᆺ고(現代朝鮮語: 오셨습니까?)

「〜だ」「〜である」を意味する이라/라

「〜である」を意味するときに現代朝鮮語では다/이다を使うが、中期朝鮮語では라/이라を使う。

語尾の-다は中期朝鮮語でも-다

原型にしろ、합니다体にしろ、한다体にしろ現代朝鮮語における-다は中期朝鮮語でも-다だった。

「〜して」を表す-고

現代朝鮮語における「〜して」を意味する-고は中期朝鮮語でも-고だったが、食べるを意味する먹다に-고が付くと먹오となる。

ちなみに、現代朝鮮語の-하시고は中期朝鮮語で-ᄒᆞ시고(h@sigo)(ハスィゴに近い発音)だった。その点を見ると現代朝鮮語と中期朝鮮語で似ている部分もあると言える。

시の連用形

現代朝鮮語における-시-という敬語の接中辞があるが、現代朝鮮語において「하셔.」のように中途半端に終わる感じの文を中期朝鮮語で表す場合、하샤のようになる。つまり「하샤」は「〜なさり」という意味になる。

疑問文

「はい」「いいえ」で答えられる疑問は-aで終わり、それ以外の質問では-oで終わる。

例: どんな用事でいらっしゃったのですか?→므스므라오시니ᅌᅵᆺ고(現代朝鮮語: 무엇 때문에 오셨습니까?)

否定文-지 아니하다

否定を表す-지 아니하다(縮約形: -지 않다)の-지の部分が中期朝鮮語では-디だった。→-디 아니ᄒᆞ다